畑が乾いている場合の方法を含め、発芽のさせ方を多数の写真で詳しく紹介します。
ニンジンは「発芽すれば成功」。
新しい種を使う、雨を待つ、ちゃんと覆土する。
この三つを守るだけで一挙に発芽率が上がります。
発芽のために大事なこと
ニンジン栽培に関連する他の記事はこちらです。
- 新しい種の入手
春先に「当年の種」を購入する。
去年の使い残し種は発芽率が落ちます。 - 雨が降るのを待つ
雨が降り、畑の深いところまで雨水がまわるのを待つ。
天気予報はあてにならないので、雨を期待して種蒔きするのはやめましょう。
種蒔き後に通り雨が降ったりしたら最悪です。 - しっかり覆土する
種を蒔いた後は覆土する。
そしてしっかり鎮圧して下さい(これがとても大事)。
「好光性種子なので覆土は浅く」などの記事を見かけますが、「光より水分」の方が遙かに大事です。
この三つを守るだけで一挙に発芽率が上がります。
極端な低温や高温でない限り、温度はさほど気にしなくても大丈夫。
なお土が乾いてしまうのはまずいですが、濡れすぎてるのも良くありません。機械的に毎朝水遣りするなどでは発芽しないことがあります。
畑の土質が悪い場合は、種を蒔く部分だけ市販の培養土を使う手もあります。
ニンジンの種は真っ暗でも発芽します。
実験すれば分かりますが、ポットなどに播種して真っ暗な箱の中に置いておきます。
25~30℃を維持すると5日で発芽します(春菊は2日)。
つまり「光より水や温度」の方が大事と言うこと。
「好光性種子だから土を薄くかける」などの意見を真に受けないことです。
黒田五寸の基本データ
その他の野菜の栽培方法はこちらです 野菜一覧表
- 品種は黒田五寸。
- 発芽適温20℃前後、好光性種子、収穫まで110日。
- 本葉3枚以上で10℃以下が数日続くと抽苔します。気象庁データ
岩手県中部では5月中旬以降なら安全。 - 7月中旬(梅雨明け前)に蒔くと翌年の4月でも収穫可能。
発芽に適した温度は15~25℃で、10℃で14日、20℃で7日ほどかかる。
水不足と水のやり過ぎに注意。
新しい種の入手
種子は加工されていない裸の種を使います(シーダーテープやコーティング種子などの加工種ではない)。
ニンジンの種は寿命が短いので、その年に採集された種を入手してください。
新しい方が発芽率が上がります(春菊などのように去年の種の方が発芽率が良いと言うことはありません)。
毎年、その年に採集された種を使い切る量だけ購入するようにします。
10mlの種を5m×2列(10m×1列)に蒔けば丁度良い発芽具合になります。
当年の種。
種は新しいものを入手する。
畑の準備(水平度が大事)
ニンジンは直播きしかできません(移植できない)。
また発芽率も悪いので畑の準備を入念に行います。
ニンジン発芽の肝はこの畑の準備にかかってます。
畑に入れる資材は、牛糞堆肥、苦土石灰、化成肥料。
土のpHは5.5~6.5、酸性だと発芽が遅くなるので苦土石灰を使ってpHを調節します。
堆肥と肥料は畑の性能により加減しますが、概ね堆肥1kg/㎡、化成肥料50g/㎡。
資材を土に混ぜて畝を立てます。
このとき水平になるように注意してください。
水平度が悪いと、水遣りの時に水が均等に行き渡りません。
なるべく水平な畝を作ってください。
播種(畑が乾いてる場合)
種蒔きは「雨が降ってから」を守ってください。
この章は畑が乾いてる状態で「やむおえず種を蒔く」場合の方法です。
雨が数日間しとしと続いたような好条件での播種はこちらをご覧ください。
角材で溝を付け水を入れる
畝に溝を作り水を入れます。
一辺が5cmほどの角材(の角を)を強く押しつけて逆三角の溝を作ります。
かなり強く押しつけてください。
溝を掘るのではなく、角材の圧力で土を圧縮して凹ませます。
この溝の中にたっぷりと水を流し込んでください(土中10cm以上は浸透させる)。
慣れるまではシャベルで掘り返して、水の浸透深さを確認します。
角材で溝を作る。
この溝の中に水を流し込む。
培養土を入れ圧着
溝の底に培養土を入れ、角材で上から押しつけてください。
押しつけたときに5mmほどの厚みになるように培養土を入れます。
種を蒔く
畑の準備ができました。
種を蒔きます。
1,溝に一列に隙間無く種を蒔き(1mに1ml)
2,種の上から薄く培養土で覆土し
3,更に角材で押しつけます。
ニンジンは好光性の種子ですが、必ず覆土して鎮圧します(光よりも水分の方が遙かに大事)。
必ずしっかりと押しつけて、種と土が密着するようにして下さい。
ここでふわふわなままだと、水分が種に届かず発芽に失敗してしまいます。
最後にじょうろで水を撒きます。
種10mlを5m×2列(計10m)に蒔けば丁度良い量になります
事前吸水する必要はありませんが、もし吸水させた場合は、蛎殻石灰などと混ぜてから蒔けば手に付かずやりやすいでしょう。
覆土して必ず鎮圧します。
途中で土が乾くようなら水遣りしてください。
ただ水が多すぎると発芽しないので(発芽には酸素が必要)、土の中の水分が無くなったら水遣りします。
毎朝定期的に水遣りするような方法では発芽に失敗します。
機械的な水遣りでは、温度が低くなりすぎたり、酸素が足りなくなったりします。
土の状態を良く見て「土の中の水分が消えたようなら」水遣りしてください。
カバー
ここまでがしっかり出来ていればカバーは不要ですが、畑の条件によってはカバーして下さい。
新聞紙や不織布でも良いし、籾殻や藁でも構いません。
籾殻なら発芽時に退ける必要が無く、また畑にそのまま漉き込めるので一番良いでしょう。
ここは新聞紙でカバーしています。
発芽を確認する
5~10日ほどで発芽するので、カバーしてる場合は外します。
播種(畑が濡れている場合)
雨が数日しとしとと続き、畑の土の状態が良ければ簡単な方法でも発芽します。
畑を30cmほど掘って、雨が十分に染みていることを確認します。
浅い部分までしか染みていない場合は、雨を待って下さい。
丸棒で溝を付ける
畝に溝を作り種を蒔きます。
畝に丸棒(支柱やレーキの柄など)を強く押しつけて溝を作ります。
かなり強く押しつけてください(踏んづけても構いません)。
溝を掘るのではなく、丸棒の圧力で土を圧縮して凹ませます。
支柱を踏んづけて溝を作る。
種を蒔く
畑の準備ができました。
種を蒔きます。
1,溝に一列に隙間無く種を蒔き(1mに1ml)
2,種の上から薄く覆土し(5mm)
3,更に丸棒や手で押しつけます。
ニンジンは好光性の種子ですが、必ず覆土し鎮圧します(光よりも水分の方が遙かに大事)。
必ずしっかりと押しつけて、種と土が密着するようにして下さい。
ここでふわふわなままだと、水分が種に届かず発芽に失敗してしまいます。
覆土して必ず鎮圧します。
種10mlを5m×2列(計10m)に蒔けば丁度良い量になります
事前吸水する必要はありませんが、もし吸水させた場合は、蛎殻石灰などと混ぜてから蒔けば手に付かずやりやすいでしょう。
カバー
ここまでがしっかり出来ていればカバーは不要ですが、条件によってはカバーして下さい。
新聞紙や不織布でも良いし、籾殻や藁でも構いません。
籾殻なら発芽時に退ける必要が無く、また畑にそのまま漉き込めるので一番良いでしょう。
新聞紙の場合は載せる前に水遣りしますが、籾殻や不織布なら載せてからでも水遣りが可能です。
籾殻を載せ水を撒く。
途中で土が乾くようなら水遣りしてください。
ただ水が多すぎると発芽しないので(発芽には酸素が必要)、土の中の水分が無くなったら水遣りします。
この状態では水遣りしません。
毎朝定期的に水遣りするような方法では発芽に失敗します。
機械的な水遣りでは、温度が低くなりすぎたり、酸素が足りなくなったりします。
土の状態を良く見て「土の中の水分が消えたようなら」水遣りしてください。
発芽を確認する
5~10日ほどで発芽するので確認します。
籾殻でカバーしていない畝。
籾殻でカバーした畝。
まとめ
ニンジンは発芽さえすればほぼ成功です。
間引きを忘れても肥料が無くても、それなりに育ちます。
家庭菜園では又根になっても構わないし(味に変わりは無い)、少し細くても気になりません。
ニンジンの場合、畝作りと発芽だけは集中してください。
なお二週間ほどしても発芽しない(またはまばら)場合は失敗なので、蒔き直す方が良いでしょう。
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