初心者が簡単に作れる”寒絞めほうれん草”。
9月に種を蒔き12月の寒さで締め、翌年の2月頃まで収穫が続きます。
冬場の寒絞めほうれん草はとてもおいしく、お正月のお雑煮には必須。
また寒絞めほうれん草に多く含まれる「ルテイン」は、ほうれん草が太陽の光から身を守るために作り出す成分です。人の体では、目を日光やブルーライトから保護する役割がありますが、残念ながら人の体では合成できません。
この「ルテイン」含有量が目の健康維持に有効であることが、科学的にも証明されています。
是非作ってみて下さい。
栽培
秋蒔き用のほうれん草は、かなり色々な品種があります。サカタ品種選びサイト
例えば昔から人気の改良日本ほうれんそう(パレード)。
気を付けるのはパレードのような秋蒔き可能な品種を入手すること(秋蒔きできない品種もある)。
<寒締め>
寒くなると自分自身が凍らないよう、葉っぱ内のでんぷんを糖に変えて溜め込みます。
これで甘みが増し、更にビタミン類も増える。
「おいしくなる」と言う事なので、人間にとっては大歓迎です。
地温が8℃以下になることで植物の給水能力が低下して、糖度が高まることが分かってきました。
最低でも2週間程度は寒さに当てて下さい。
使う畑
ほうれん草はpH7が重要。
それと乾かして育てる(畝を高目にする)。
なお法蓮草の生育適温は、15~20℃です。気象庁気温グラフ
播種は岩手中部では9月初旬に直播きすれば寒締めに丁度です。
寒絞めのためには8℃以下の地温が必要です。
例によって牛糞堆肥をメインにしますが(これはどの野菜でも同じ)、ほうれん草の場合は、 苦土石灰を多くし、種蒔き前、早めに畑を準備します。
pHが低いと発芽しても葉っぱが黄色くなって育ちません。pH7を目標にして下さい。
ほうれん草で気を付けるのはこのpHです。
他は気楽にやってください。
肥料の切れた畑(ずっと使ってないなど)の場合は化成肥料も入れます(1㎡に一握り)が、追肥はしないでください。
もし可能なら日向から日陰にかけて細長い畑に蒔くと、タイミングをずらして長く収穫出来ます。
自家菜園では同時に一挙に完成しても食べきれないので、なるべく収穫が長期間続くように工夫してください。
意外と日陰の方が早く育ったりするのもほうれん草ならではです。
ほうれん草とニンジンでは、畑の土を平らにならす必要があります。
でこぼこしていると低い部分に水分が行き、高い部分の水分が不足することになるため、発芽が揃いません。
pHとともに畑の平滑にも注意してください。
この写真では普通の石灰を使ってますが、苦土石灰の方が使いやすいでしょう。
間引くと株がフラフラして倒れやすくなるので、株元に土寄せするために、畝間は40cmほど必要です。
種蒔き
ここ(岩手県中部)では9月に種蒔きすると、初冬から収穫できます。
遅いと育ちきらないので、お住まいの土地にあった時期に種蒔きして下さい。
半月ほどずらしながら種蒔きすれば、最適な時期は直ぐ分かります。
なおほうれん草は移植が少し難しいので直播きします。
しかもニンジンなどと同じようになかなか育たないと言うくせ者。
芽出しする手もありますが、面倒な事はしたくないですよね。
<芽出し方法>
種を一晩水に漬け、タオルにくるんで3日ほどぶら下げておきます。
白い根が出てくるので、この根を潰さないようにして蒔きます。
種蒔きしました(右の濃い茶色の部分)。
育成
どの野菜でも同じですが肥料を少なく。
ほうれん草は特に少なく育てて下さい。
肥料を減らして育てるとイガイガ(シュウ酸)が丁度良いアクになります。
家庭菜園は売るのが目的ではありません。
売るとなれば規格があり「なんグラム以上」「なんセンチ以上」「虫食いナシ」などに合わせるために肥料や農薬を大量につぎ込んでます(規格に合わないと廃棄処分)。
美味しい野菜を育てたいなら「肥料を少なく(または無肥料)」を守って下さい。
少肥で育てると繊維が太くならず、柔らかく丈夫な野菜になります。
種を蒔いて二週間後。
半月もかかってこれだけです(ほうれん草はじれったい)。
低温時はトンネルをすれば早く育ちます。
この位の大きさになったら間引きをはじめます。
収穫
ほうれん草は一度に大量に食べるので、いっぱい有るようでも大したことはありません。
10mの畝に作っても、収穫すると僅かです。
やはりキャベツや白菜の方が畑の使用効率が良いですね。
一遍に採れてしまったときは冷凍すれば一ヶ月程度は持ちます。
間引きは2回しました。
間引き菜も食べますが、ほうれん草の間引きは味がなくて面白くありません。
ある程度育ってくると、ほうれん草特有の味が出て美味しくなります。
ほぼ完成。
この辺まで育つと味が出てきます。
この状態で霜に当てて寒絞めします。
冷凍保存
冷凍保存の方法です。
生のままでも茹でてからでも良いのですが、生のままではラップに包むとバリバリ割れて細かくなってしまいます。
冷凍可能なパック容器に入れて冷凍してください。
冷凍庫から出してそのまま加熱できる耐熱ガラスの保存容器もあります。
まとめ
毎度のことですが、プロのように売ってお金にするわけではないので、見た目も収量もあまり気にしないでください。
一遍に完成しない方が良いし、小さくても大きくても良い(規格に合わせる必要は無い)。
自分たちで食べるのだから、虫に食われてても良いだろうし、葉っぱが丸まっててもOK。
一番大事なのは「味」ですよね。
味のためには忘れずに肥料を減らして下さい。
ぐりぐり肥料をやれば繊維が太り「大きくて立派」にはなります。
でもこう言うのはおいしくない。
それに腐るんです(肥料がしっかり切れた野菜は、腐らずに枯れていきます)。
市販品のように最後まで肥料を効かせて「大きくて立派なのができた」とか思わないようお願いします。
冷蔵庫の野菜室で腐るようなのは、肥料を大量にやって形ばかり大きくした市販野菜です。
初期育成のために早めに肥料を効かせ、虫に負けない大きさまで育てる。 所定のサイズまで育ったら肥料はなるべく早く切る。
おいしい野菜作りのコツはこれだけです。
寒絞めほうれん草を正月のお雑煮にどうぞ。
お餅は七輪でしっかり焦げ目をつけると香ばしくておいしくなります。
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