タラの芽とコシアブラは山菜の王様。
苗木から20年間栽培した方法を多数の写真でご紹介します。
重要:枯れさせないためには、半日陰の場所が必要です。
※2024年現在も継続中(20年目)。
コシアブラとは
コシアブラは木の名前ですが、タラの芽やウドと同じように木の芽を食べる山菜です。
日本各地に自生しており、10年ほど育てると高さは5mを越えます。
コシアブラの芽。
天ぷらや和え物で食べると独特な香りが病み付きになります。
タラの芽とほぼ同時期に収穫され、味のタラの芽、香りのコシアブラ。
収穫して直ぐに調理しないとアクが強くなるのは、タラの芽など他の山菜と同じです。
天ぷらや和え物がおいしい。
植え場所について
その他の野菜の栽培方法はこちらです 野菜一覧表
コシアブラは全部の芽が一気に収穫適期になります。
順番に収穫することがほぼ不可能なので、食べられるのは数日だけです。
つまり一年の大部分は、大きい木をただ生やしておくだけ。
また収穫して直ぐに調理しないとアクが強くなります(アク抜きして使う方法もある)。
これらの事を考慮して植える場所を決めます。
邪魔にならず、かつ収穫後すぐに調理できるよう、遠くない場所を選んでください。
また半日陰である必要があります(相対照度25%程度)。
鉢植えもできますが、木の大きさからして現実的ではありません。
この頃はコシアブラも栽培されており、芽が市販されることがあります。
流通してる間にアクが強くなってしまうことがあるので、やはり自作して直ぐ調理するのが一番です。
苗の入手と植え付け
早春または晩秋(葉が落ちる頃)に山に入り、コシアブラの苗木を見付けてください。
高さは1m以内が手頃です(市販苗もあります)。
あまり大きい苗木は活着が難しくなります。
苗木を半日陰の場所に植え付けます。
日向では上手く育ちません(枯れてしまうことがあります)。
林の中や木の陰など、相対照度25%程度の場所を選んで下さい。群馬県林業試験場のデータより
試しに苗木を好条件の日向に植えておきましたが、3年ほどで枯れました。
コシアブラの生育場所を山に行き観察すると、大きな木の脇の半日陰の場所に生えてます。
防風林の手前の半日陰に定植。
翌年
春先に順調に育っていることを確認します。
半日陰に植えれば問題は出ないでしょう。
ご当地で桜の花が咲く頃に新芽が出てくれば順調です。
新芽を採らないで下さい。
まずは木を育てることに専念します。
肥効の長い肥料を与えて下さい。堆肥や油粕が手頃です。
5/2 高さ約50cm。
数年間は育ててやります。
コシアブラの新芽の出る時期を見逃さないように、周りの木々の様子も認識しておいて下さい。
桜の花の咲く時期、広葉樹の新芽が出る時期などに注意します。
コシアブラの芽の収穫期間は数日程度と非常に短かい。
周りの木々の様子からも時期を逃さないようにします。
ここでは桜が咲くのと同時。
ケヤキの新芽の時期でもあります。
2年経過
二年後には2倍ぐらいの大きさになります。
まだ芽を採りません。
育てることに専念します。
植えてから2年経過。
高さは元の倍の約1m。
3年経過
一年で高さが30cmほど伸び、幹の太さは2倍ぐらいになります。
まだ芽を取らずに我慢して下さい。
ずいぶん太くなってきました。
うまそうだ~。
我慢我慢。
4年経過
移植からもう4年。
なかなか大きくならないです・・・いや~じれったい!
最初の数年は一年に30cmほどしか伸びません。
それでも芽の数は2倍ぐらいにはなります。
少しずつですが立派な芽が出てきます。
この大きさが食べ頃サイズ。
翌日。
一日で結構伸びます。
5年経過(収穫!)
5年目です。
大きくなりました。
少し収穫しましょう!
木を大きくすることに留意して、バランス良く収穫します。
5年育てた結果。
ここからは年ごとに収穫量が増えます。
野生の木の芽なので、収穫したら直ぐに調理して下さい。
タラの芽やワラビなども同じですが、山菜類は収穫して時間をおくとアクが出てきます。
アクの苦みも旨さですが、アクの無いスッキリした山菜はとてもおいしいものです。
「お湯を沸かしておいて採りに行く」ぐらいの気持ちで素早く行動します。
そろそろ将来の木の大きさのことも考えておきます。
どちらの方向に伸ばすか、高さはどうするかなど。
収穫時は梯子をかける、または木登りするなど、収穫のイメージも含めて考えます。
野生の木なので、基本的に真っ直ぐ上に伸びるので、あまり無理な剪定はやめておきましょう。
剪定すると芽の数が増えますが、なにもしなくても数年で一挙に増えます。
また自然の木なので、いくら剪定してもどうしても大きくなります。
あまり細かいことをせず、自然に大きくしてやるのがコシアブラにとって一番幸せしょう。
高さは2mを越えてます。
2022年(18年経過)
数年前に一本が枯れて、現在は一本のみです。
この一本、すっかり育って幹の直径10cmほど、樹高は6mほど。
ここまで育つと下の方の芽を収穫するだけでも食べきれません。
頂きます
おいしそう。
これを天ぷらに!
タラの芽と違いコシアブラの袴(ハカマ)は小さいので、外さなくても構いません。
食べずに残せば良いでしょう。
わお!
塩か天つゆで・・・良い香り!
夏の様子。
タダの「邪魔な木」です(^^;
コシアブラの根による増殖
農林漁業現地情報(平成16年4月) コシアブラの根挿し法による増殖技術を確立 -山間地の特産物をめざして-[那珂町] 茨城県林業技術センター(菊池 晃センター長)では、このほどコシアブラの根挿し法による増殖技術を確立した。 コシアブラはウコギ科の落葉樹で、もともと樹脂液をとり、こして塗料に使ったことから命名された。 若芽は山菜として天ぷら、お浸しなどに珍重される。 同センターでは、これまでコシアブラの増殖法について研究してきたが、実生による方法では、生長が遅く、種子の採取が難しいことなどから平成13年から無性繁殖(栄養体繁殖)法の研究を開始した。 今回、確立した方法は、樹高1~2mの比較的若齢樹のコシアブラの根を切り取り、根元から5~7cmごとに分根する。1本の根から7~8本とれるが、幹に近い根の方が発根率が良い。 植付ける時は水に浸し、一晩冷却してから定植する。 定植後は、乾燥防止に麦わら等を敷いた後、寒冷紗(50%遮光のものが最適)で被覆する。 定植時期は、雑菌が少なく管理が楽な冬が適期である。 実生以外の繁殖法である無性繁殖法には、挿し木やとり木があるが、これらの繁殖法に比べ、根挿しによる繁殖法は、植付けは一般の畑ででき、発根率も挿し木とそれほど変わらず、方法が平易である。また、生育が早いので育苗期間が短くなる、という特長をもつ。 同センターでは、この方法によりコシアブラを増やし、「山間地の特産として普及させたい」と話している。
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