自宅で作る本物のハム。
素材は岩手のブランド白金豚。
薫製器でチップを燻し、本格的な高級ハムを作ります。
ベーコンもハムもおいしさは温度で決まります。
低温加熱だと「おいしい & 危険」、高温にすると「味が落ちる & 安全」。
この記事ではなるべく低温で調理してますが、使用する肉や環境によっては温度を上げて下さい。
ボツリヌス菌中毒の可能性に常に注意してください。
道具の準備
30年ほどベーコンやハムを作ってますが、幾つかコツがあります。
素材・塩抜き加減・チップの選択・加熱温度など。
この記事を読みながら作れば、きっと美味しい燻製が作れます。
肉の処理の前に、下漬に使う道具の消毒や、置き場所の確保をしておきます。
ナベ、バット、お盆、包丁、アルコール、ブランデー、塩、タオル、ペーパータオルなど。
肉も取り出しやすいようにパックを開いてください。
「肉を触った手でほかを触らない、ほかを触った手で肉に触らない」のが大事。
冷蔵庫で保存するとは言っても、下漬期間が一週間ほどあるので気を遣って下さい。
また燻煙時も高温にしないので、とにかく菌を減らすことに留意します。
必ず涼しくなってから作り始めてください。
気温が高いと菌が増える可能性が高まります。
手や器具類にアルコールをスプレーし、ペーパータオルで拭き取ります。
以降は、肉とアルコール消毒したものしか触れません。
先に準備しておかないと、何度も手を洗うことになり手間が増えちゃいます。
ロースハムの材料
※4kg作る時の手順です。
ロース肉はデリケートなので、ベーコンより丁寧に扱います。
香料も強く効かせずに「肉の味」を味わいます。
肉の入手先について
ベーコン用の肉はアメリカ産でもオーストラリア産でも良いですが、ハム用のロースだけは有名な肉を使う方が良いです。
きめの細かさや油の軽さが丸っきり違います。
筆者は地元の白金豚を使ってます。
大まかな流れ
- 肉の下漬け。
塩を濃くまぶして、4時間ほど冷蔵庫で寝かせます。 - 塩抜きしてから一週間ほど本漬け。
使うのは塩とブランデーがメインです。 - 塩抜きしてから布でくるんで乾燥。
- 5~6時間ほど燻煙します。
- お湯で茹でます。
1.下漬け
前準備や下漬の手順はベーコンと同じです。
肉を発注し、事前に道具を準備しておきます。
下漬けは4時間ほどで終えます(ベーコンのように長く漬けると、ロース肉のおいしい成分が逃げてしまうので、短めに)。
ある程度、大きい方が作りやすい。
今回は2kgブロックを2個使ってます。
ベーコンと同じように濃い塩で漬けます。
下漬けは4時間ほど。
2.本漬け
※調味料は2kgのブロックに対しての量です。
塩60g、砂糖10g、胡椒10g、ローリエとブランデー適量
塩抜きを30分したら、キッチンペーパーで水気を拭き、調味料をまぶして袋に入れます。
ブランデーを入れ、なるべく空気を抜いてパック。
冷蔵庫に入れて肉と同じぐらいの重さの重石をします。
※野菜を使わず、調味料とブランデーだけなので、味が回りやすいようにここでは真空パック用の袋を使って密着させてますが、水中に沈めて空気を抜く方法でも構いません。
この状態で一週間ほど冷蔵庫で保存します。
調味料やブランデーが満遍なく回るようにします。
3.塩抜き
まず塩抜き。
水温20℃の時で、3時間ほど塩抜きしてます(水温が低い場合は、最初だけぬるま湯で塩抜き)。
ロース肉は塩が入りにくいので、ベーコンほど気にしなくても大丈夫。
ハムの場合は途中で味見をせず、3時間の塩抜きをしていますが、これで丁度良いようです。
本漬け後の肉。
少し締まります。
塩抜きには大きい鍋を使って下さい。
小さいと味にばらつきが出ます。
4.乾燥
続いてサラシで巻いて乾燥の工程。
塩抜きの終わったロース肉をキッチンペーパーで拭いて水気をざっと取ります。
その後でサラシで巻いて乾燥させます(扇風機で風を当てても構いません)。
水気を切った肉をサラシで巻く。
片側を糸で停めたら、手で振り回して肉が詰まるように(太くなるように)する。
ハムは太い方がうまいです!
反対側の処理。
更にタコ糸を肉側に食い込むように巻く。こうすると肉が中心に寄って太くなる。
全体をタコ糸で絞めていく。
最初は軽く巻く(肉の偏りを防ぐ)。
ある程度巻いたら軍手をして力一杯巻く。肉を向こうに押すようにして巻くと力が入る。
巻き終わったら扇風機で風乾3時間ほど。
水分が残っていると燻煙が入りにくいので、サラシ布の表面が良く乾くまで干して下さい。
5.燻煙
燻煙します。燃焼方法はこちらです
ハムは軽い燻煙も旨いので、スモークウッドとチップを好みで使い分けて下さい。どちらもおいしいです。
燻煙する時間もお好み次第。
筆者は箱の温度を50℃にセットし、燻煙時間は4時間ほど(肉の中心温度は40~45℃)。
ここではチップを使ってます。
6.茹でる
最後にお湯でボイルします。
大事なのは「湯温をゆっくり上げていく」です。
肉は「高温にすると安全 & 不味くなる」、低温だと「危険 & おいしい」の法則。
お湯の温度をゆっくり上昇させることで、肉の外側も内側も同じようにゆっくりと暖め、全体をおいしく仕上げます。
筆者は肉の中心温度のリミットは62℃にしていますが、危険だと思うならもっと温度を上げて下さい(白金豚ならもっと温度を下げても平気と思ってます)。
お湯と肉の中心に温度計を挿して、両者の温度差があまり開かないようにしてボイルします。こうすることで肉の表面と中心を同じようにボイルできます。
お湯をかき回すのも忘れずに。
今なら低温調理器を使うのも良いと思います。
このシットリ感。
薄く切って手のひらに載せると、手の温度で脂がジワーっと出てきます。
燻煙の香りとともに、これぞ最高の贅沢ハムです。
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