失敗しない挿し木の方法や用土(ピートモス・鹿沼土)の使い方をご紹介します。
ここではノーザンハイブッシュ品種のグレートブルーの苗木作り2年間の様子をご覧頂けます。
なおこの記事では9月に挿し木を開始しています。
ブルーベリーの植え付け図
2003年からブルーベリーを栽培しています。
多品種を20年ほど育ててみて分かったことを発信しています。
グレートブルーの特徴
その他の野菜の栽培方法はこちらです 野菜一覧表
グレートブルーは、中生種で大粒のノーザンハイブッシュ。
味と実の大きさと収穫量で優れています。
こちらではグレートブルー、スパータン、オニールが優秀です。
このグレートブルーを挿し木で増やす方法の紹介です。
苗木として完成するまでに3年ほどかかります。
挿し木の基本(発根すれば成功)
ブルーベリーの挿し木の時期は、桜が開花する直前か、枝の成長が止まった夏場以降です。
休眠枝挿しや緑枝挿しなどのプロ向けの手法もありますが、実は細かいことを気にしなくても簡単に発根します。
大事なのは枝を採ったら直ぐに挿すこと。
また挿し穂に使うのは、去年伸びた緑色の徒長枝です。
家庭では10本挿して5本も育てば十分でしょう。
この気構えで挿し木をすれば、難しい能書きも理屈もなにも要りません。
この記事では8本挿して5本成功しています。
WEBの記事はプロ向けです(何百本も苗木を作って売るための手法)。
プロは1割の失敗でも大損失と思いますが、家庭では5割の失敗でも痛くも痒くもありません。
10本挿し木して5本育てば十分・・・2本でも問題無いですよね。
用土
挿し木に使う土はピートモスだけ。
または半分ほどの鹿沼土を混ぜても構いません(ピートモスが不足するなら混ぜても問題無い)。
ピートモスは必ず「無調整」のものを使います(園芸店などではpH調整済みのピートモスも置いてるので、気を付けて購入してください)。
ドイツ製のピートモス。pHは少し高く5.2。
pH3.5ほどのCANADA製品もあります。
ピートモスは事前に水を吸わせます。
バケツなどに乾いたピートモスを入れ、水をびしゃびしゃに入れて掻き混ぜます。
浮いてくるピートモスが無くなるまで混ぜたら、水と一緒に鉢に流し込めばピートモスだけが鉢に残ります。
作業
枝を採りに行く前に、吸水したピートモスを鉢に入れて準備しておきます(生け花と同じように枝を切ったらさっさと挿したい)。
直径5mmほどの徒長枝(去年伸びた真っ直ぐな枝)を採ってきます。
切り分けた切り口を乾かさないように素早く作業して下さい。
・枝を10~20cmほどの長さに切り
・切り口をカッターナイフなどで斜めにシャープにする
・土に挿す部分(枝の長さの半分ほど)は葉っぱを外す
・鉢に挿す(ピートモスは柔らかいので穴を空けておく必要はありません)
ルートン(発根促進剤)を使わなくても十分に発根します。
9/1 挿し木開始
グレートブルーの枝を切り分けて挿し木します。
枝に付いてる葉っぱが多いと枯れてしまうので、多めに落としてください(1~2枚残っていれば十分で、葉っぱ無しの芽だけでも発根します)。
大きめの鉢を使用してます。
用土はピートモスのみ。
ここではルートン(発根促進剤)を使用。
葉っぱをハサミで切って蒸散面積を減らすのも効果があります。
あまり神経質にならなくても発根するので、色々と試してみてください。
大きめの鉢を使う方が水分が安定して成功率が上がります。
大量に作る場合は、鉢ではなくプランターなどに並べて挿すこともできます。
ツツジの下に設置。
一日の大半が日陰になる場所に置きます。
二ヶ月ほどすると枯れた枝は黒くなるので区別できますが、構わずそのまま冬越しさせます。
もしかしたら来年の春には発根するかもしれません。
雪の下になっても問題無いので、そのまま木の下に放置しておいてください。
翌5/10 冬越し後
冬越し後に葉の出てるのは既に発根しています。
成功です。
茎が黒くなって葉の出ていない挿し木は失敗なので捨てます。
既に発根はしてますが、カルス(根の塊部分)が弱いので、未だ触らないようにします。
「根を見てみたい」気持ちは分かりますが、もう暫く我慢してください。
新芽が出ています。
9/7 鉢替え
冬越えしてから更に半年経過。
挿し木を始めて一年が過ぎました。
8本挿したうちの5本が成功です。
後は苗木として育てていきます。
1~2年育ててから定植します。
鉢替え時はスリット鉢を使ってます。
鉢底石を使わなくても上手く水が抜けてくれます。
未だ根張りが弱いので、根鉢を崩さないようにして大きいスリット鉢に移します。
用土はピートモスだけ。
そろそろ肥料を与えてください。
油粕のブロックやマガンプkなど、長期肥効の肥料を与えます。
完全に「苗」になりました。
翌6/2 二度目の冬越し後
挿し木を始めてから間もなく二年。
苗木の成長に合わせて再度の鉢替えをします。
ブルーベリーは夏場は蒸散が多いので水を忘れずに。
また肥料も与えてください。
来年は定植しましょう。
翌5月 三度目の冬越し後:完成して地植え
挿し木を始めてから二年半。
立派に育ちました。
更に鉢替えして苗として育てることもできますが、このサイズになると水遣りや根詰まりなどの手間が増えてきます。
早く大きく育てるためにも、そろそろ定植しましょう。
ここまで育ちました。
二年半前。
このうちの5本が苗になりました。
定植
完成した苗を定植します。
用土はピートモスのみ。
時々追肥してやってください。
三年後にはこうなります。
まとめ
ブルーベリーの挿し木は至って簡単です。
小難しい理屈は全く不要です。
家庭菜園では「10本のうち5本が付けば良い」と言う気楽さを忘れず、楽しく挿し木をしてください。
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