美味しい品種の野菜苗を売ってないなら、自分で作ってしまいましょう。
ポットやセルトレイを利用すれば簡単に作れます。
「苗作り」は贅沢な野菜生活のために必須。
苗から作れるようになると、好みの品種を栽培できるので、美味しい野菜のレパートリーが一挙に広がります。
家庭菜園で少量の苗を簡単に作る方法をご紹介します。
野菜の種類と苗作り
野菜の中には、苗作りしない(直播きする)野菜や向いていない野菜があります。
これらの野菜の苗を作っても構いませんが、苦労の割に良い結果にはなりません。
野菜に応じて苗作りと直播きを使い分けます。
苗作りしない(直播きする)野菜
根菜(ニンジン、ゴボウ、大根、カブなど)は苗作りしません。
根が太く真っ直ぐな野菜は、定植(畑に移植すること)すると弱ってしまいます。
これらの野菜は、定植しても根を広げることができず枯れることが多い。
直播きする方がずっと簡単に栽培できます。
畑の土が良くない場合は、種を蒔く部分にだけ培養土を入れる方法もあります。
苗からだと難しい野菜
オクラ、トウモロコシなどは慣れないと難しいので直播きをお薦めします。
これらは初期の根量が少ないので、ポットから取り出すときに根鉢が崩れやすく定植が難しい。
この手の野菜はなるべく直播きしますが、畑の土が良くない場合は、地面に直径5cmほどの穴を空け、そこに培養土入れて種蒔きする手もあります。
直播きが向いた野菜
小松菜、ほうれん草、春菊、水菜などは直播きの方が簡単で早い(苗を作っても構わない)。
また間引きを食べたい野菜は直播きです。
苗作りすべき野菜
白菜、キャベツが代表です。
直播きでも栽培できますが、苗が小さいときの管理がかなり面倒。
どちらも虫に弱く雑草にも弱いので、薬を使ったり草取りしたりと手間がかかります。
白菜は本来は直播きの方が良く育ちますが、苗作りすることをお薦めします(小さいうちに定植する)。
ナス、トマト、ピーマン、甘唐辛子、セロリなども苗から作ります。
これらの野菜は小さい頃の育ちが遅く、管理にかなりの手間がかかります。
苗作りも時間がかかるので、早めに開始する必要があります。
苗作りに慣れたら挑戦してみてください。
苗作りしても直播きでも良い野菜
水菜、ゴマ、レタス、春菊、落花生、キュウリ、カボチャ(ズッキーニ)、豆類など。
白菜、キャベツ、キュウリは苗を作る方が良いでしょう。
野菜作りに慣れていないのなら、苗を作ることをお薦めします。
目の前で発芽から成長まで観察できるので、良い練習になります。
また定植(畑への移植のこと)の手順も覚えられるし、なにより直播きより管理が楽です。
苗作りの設備
寒い時期に苗を作る場合の設備です。
家庭菜園では作る苗の量が少ないので「設備」と言うほどのものは必要ありません。
加温器
ビニール棚に加温器、または発泡BOXに電器あんか程度で十分に間に合います。
この頃は園芸用の温調付きヒーターもあるようです。
ビニール棚+加温器。
温度は自動調節。
最大で150鉢ほど作れます。
発泡BOX+アンカ。
こちらは6鉢まで。
地温は蓋に挿した温度計で監視。
苗の育成場所
発芽したら陽に当てるために外に出します。
陽当たりの良い場所に設置してください。
発芽したら間髪を入れず陽に当てて徒長を防いでください。
苗は雨に当ててはいけないのでビニールで覆います。
更にキャベツや白菜の苗は虫にやられるので防虫網でカバーします。
雨避けは95cm幅の透明ビニールマルチの余りを利用してます。
内側の防虫網は食卓用のフードカバー、下に敷いてるのは防草シート。
ピッタリ塞ぐと暑くなりすぎるので、ビニールは隙間を空けてください。
風と雨を避ける。
家庭菜園ならこの広さで十分。
きっちり入れると8cmポット60個を置けます。
もっと大量に作る場合はプラグトレイを使ってください。
苗は地面にベッタリ置かずに少し浮かせます。
中は結構広いです。
ポットでの苗作り
8cmポットを使って苗作りします。
苗作り用の土は市販の培養土を使いますが、必ず軽いタイプの無肥料のものを使ってください。
肥料としては窒素分の少ない液肥が使いやすい。
肥料入りの培養土を使うと、肥料成分が多すぎて苗が徒長しやすい。
また重い培養土は根張りが悪くなります。
発芽後の苗の大きさによって蒔く種数を決めます。
ズッキーニや大豆など発芽直後から大きい野菜は少なく、キャベツやゴマなどは多めに蒔きます。
吸水しやすいよう培養土は少な目に。
上部に水の溜まるスペースが必要。
葉が混んできたら少しずつ間引きしていきます。
葉を混ませることで生育が促されるので、余り早いうちに間引かないでください。
色違いのポットで品種を区別します。
このように根を巻かせるためには、ポットを地面にベッタリ置かない。
地面に付いていると、根がポットの下穴から出てしまいます。
少しで良いので地面から浮かせて育ててください。
根鉢を形成させます。
セルトレイ(プラグトレイ)での苗作り
そもそも「なんでプラグトレイを使うの?」。
安く大量の苗を作るため。
少量の苗で済む家庭菜園では出番はないかもしれません。
プラグトレイは小型ポット(セル)をたくさん連結させたトレイ。
セルトレイと呼ばれることもある。
プラグトレイは少しの量の培養土で苗作りするので、安上がりに苗を作ることができます。
でも「培養土が少ない」と言うことは「注意が必要」と言うことです。
私はゴマの苗作りに使う事が多いです。
ゴマ以外にも小さい根鉢で定植する野菜はプラグトレイで作ります。
白菜やキャベツも、小さいうちに定植するならプラグトレイで構いません。
プラグトレイは土の量が少ないのでポットより気を遣います(水管理が難しい)。
しかし根鉢の形成は早い。
その代わり時期が来たら遅れずに定植しないと根が回ってしまい苗が弱ります。
家庭菜園では色々な事情で予定通りに定植することが難しい場合もあるので、土の量が多いポットで苗作りすることをお薦めします。
セルの大きいプラグトレイを使う
セルが大きめのプラグトレイを使います。
プラグトレイは切って利用することもできます。
プラグトレイでは種の数をポットより減らします。
苗の大きさで種数を加減してください。
プラグトレイは土が少ないので早めに間引きます。
ポットと比べて根鉢の形成が早いので、遅れずに定植してください。
遅れると根が回ってしまい、定植後の活着が遅く成長が良くありません。
小さめのプラグトレイを使う
ゴマには50~70穴ほどのセルが小さめのプラグトレイが手頃です。
直播きでも行けるのですが、発芽時の管理が面倒なので小さいプラグトレイで苗作りしています。
各マスに3粒づつ播種。
途中で間引いて一本にします。
間引きのタイミングはポットなどより少し早めが安全です。
綺麗な根鉢が形成されました。
鉢上げする場合
プラグトレイで作っている苗が完成してしまったが、未だ畑の準備ができてない。
こんな時は、途中でポットに植え替える方法(鉢上げ)があります。
ただし一般的に「植え替える(鉢上げ)と成長が遅れる」と言われてます。
完成品(キュウリ苗)。
育苗箱での苗作り(ネギ)
ネギやニラは育苗箱で苗作りします。
もちろんポットやプラグトレイでも作れますが面倒でしょう。
育苗箱に培養土を入れて種をバラマキします。
注意するのは「種の蒔きすぎ」。
混みすぎてしまうとなかなか育ちません。
少ない分には良いですが、多すぎると間引きも面倒です。
ネギやニラは折れ曲がって発芽する。
頭に種の殻が付いてます。
間引きしました。
完成。
まとめ
苗作りには練習が必要です。
色々な野菜の苗を作って腕を磨いてください。
セロリやトマトを除けば、どの野菜も一ヶ月ほどで完成するので気軽に練習できます。
真冬以外は練習ならいつでも始められます。
来年の春は、自作苗の野菜を育てましょう。
四葉キュウリや理想白菜・・・美味しいですよ!
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